本を読め? YouTubeでいいじゃん 〜本質的なメディアの特徴〜
本を読めとは言いますが、現代ではYouTubeやブログでいいような気がします。現代でも本を読む意味って本当にあるんでしょうか。
本の役割
私は、本には大きく分けて「主義・主張」「物語・娯楽」「知識・教養」の3つの役割があると思います。つまり人間は、この中のどれかか、もしくは複数を求めて読書をするのだということです。
小説を読む人は娯楽とちょっとの主張を求めているかもしれません。ビジネス書を読む人は新しい知識や主張、考え方を求めているかもしれません。あるいは単純に娯楽として楽しんでいる人もいるかもしれません。
というわけで今回は、「主義・主張」にフォーカスして考察していきたいと思います。
主義・主張という役割での本
主義とはスタンスのことで、何を大切にするかという思想のことです。社会主義は社会を、民主主義は民主を、全体主義は全体を、能力主義は能力を大切にするスタンスです。
それに対して主張とはもっと積極性を持ちます。主義が考え方なのに対して、主張は「こうするべき」「こうしたらどうだろう」というような意見です。
さて、これらの情報を伝達するものとして見た時に、それぞれのメディアはどう映るでしょうか。
様々なメディア
主義・主張が最も反映される書籍というと、ビジネス本やエッセイなどがあげられるでしょうか。
同じく主義・主張が反映されやすいメディアというと、次のようなものが考えられます。
YouTubeやTwitterはものよって主張が強いものから娯楽的なものまであります。ここでは、例えばひろゆきさんやメンタリストDaiGoさんのような主義・主張の濃い動画を指しています。
また、あまり色濃く出るわけではないですが、一応の主張を感じられるメディアは
- テレビ
- 新聞
- ラジオ
などでしょうか。これらは主張がなくはないですが、かなり少ないと思います。例えばテレビでは放送法第4条によって政治的に公平であることが義務付けられている、などの制約があるためです。
さて、これらの何が本と違うのでしょうか。
どこの馬の骨だかわからない人
まず、人の信憑性が違います。
上にあげた3つのネット媒体は、誰でも無料で簡単にアップロードすることができます。それに比べて本は、出版社が売れそうだと考える人物でないと出版は難しいです。そうなると必然的に本の方が名がある人の洗練された意見が多い傾向にあります。
逆にネット媒体では、いろんな人の意見が聞けるのが大きな強みとなっています。例えば、普段全く関わりのない高校生の考え方はどうなのか。どのような人がこの主張を唱えているのか。というようなことが分かります。
情報が細切れ
他に比べて本は体系的であることが多いです。
例えば、ブログ、YouTubeなどはある程度の更新頻度が求められます。Googleのアルゴリズムの仕様上、検索上位やおすすめに出やすいようになっていると言われているのです。ほとんどの人気YouTuberが毎日投稿をしているのはこのためです。
こうなると体系化された思想は発信されにくくなります。制作にはとても長い時間がかかるからですね。俯瞰的だったり抽象度の高いものは本の方が圧倒的に有利であるでしょう。
もちろん、YouTubeなどでも思想を理解することはできると思います。ひろゆきさんの生配信を10時間も聞けば、何を大切にしているかぼんやりと分かることでしょう。しかし、効率で言ったら3時間で著書を読む方が良いと言わざるを得ません。
作者がバラバラ
ネット媒体では、一人の人の意見をまとまって聞くことが難しいです。例えばネットで「〇〇ってなんだろう」と思って調べる時のことを想像してみてください。おそらく、知らない人が書いた記事を上から順に2、3個読むだけだと思います。それが悪いということではなく、それがメディアの特性だと思います。この人を深く知りたい、考えたいという時は本の方が適しています。
ネットでは、たくさんの意見を浅く知ることができます。その中で、今の世間の主流の考え方は何かが分かることもあります。ただし大抵の場合全体像が見えにくく、意見が偏りやすいというデメリットも抱えています。
また、テレビの番組制作のように大人数が干渉しているメディアも、指向性の弱いまとまらない主張になりやすいと言えます。
クオリティの差
本というのはネット媒体と違って、出版してしまったら修正が難しいです。間違った解釈がされてしまうとその人の信用を損ねるので、できるだけ間違いがないよう校正が入ります。
また、執筆にかかる時間や労力もブログなどとは大きな差があります。毎日投稿するようなネットコンテンツと比べると、間違いなく本の方がクオリティが高いでしょう。
考察
ここまで 様々な特徴を見てきましたが、こう考えると本というのは非常に特異な性質を持っているように思います。
一人の人間の主張が本ほどのハイクオリティでまとまっているものは他にそうないのではないでしょうか。YouTubeの動画でちまちまと主張を集めてもいいですが、根本的な思想を手っ取り早く深く知った方が効率的ではないでしょうか。
今回、普遍的で時代によって変わりにくい「主義・主張」と役割を限定しました。それによって、ネットの長所である「知識・教養の情報伝達の速さ」という関係を切り離すことができました。従来とは違った切り口での見方ができたのではないでしょうか。
まとめ
- 主義・主張の伝達媒体として各メディアを切り取ってみる
- クオリティが高く体系的でまとまったものが多い
- 主義・主張を本という特異なメディアを有効に活用すべき
以上です。最後までご閲覧いただきありがとうございました。